動画編集には、編集したい動画ファイルの形式に対応できる動画ソフトが必要です。コンテナフォーマットがMatroskaである動画ファイルを編集したいのであれば、MKVToolNixを使ってみてはいかがでしょうか。MKVToolNixとはどのような動画編集ソフトなのでしょうか。
以下では、MKVToolNixの機能や特徴だけでなく、基本的な使い方も解説しているので、Matroskaの編集をする際には、ぜひ参考にしてください。
MKVToolNixとは
MKVToolNixは、2003年にMoritz Bunkusによって作成・公開された、動画編集のツールをパッケージングしたものです。
Matroska(マトリョーシカ)ファイルの編集をgui形式でできます。
MKVToolNixが登場するまでの動画編集ソフトで、Matroskaファイルを作成・抽出・解析しようとすると、音ズレや劣化という問題を引き起こすことが少なくありませんでした。MKVToolNixを使えば、高品質のままMatroskaファイルに出力できるようになります。
#対応OS
MKVToolNixは、Windowsだけでなく、macOSやLinux環境に対応しています。ただしmacOSに関しては動作保証がされていないので注意が必要です。
#Matroskaファイルとは?
Matroskaファイルとはコンテナフォーマットの一種です。1992年にロシアで作られたこのフォーマットは、マトリョーシカ人形を元に名づけられました。
Windows 10では標準で扱うことができ、さらに、さまざまなコーデックに対応できます。MP4やMOVなどと比べると、知名度は高くありません。
ですが、動画の品質が高く、多重音声・多重字幕が処理できるといった理由から、将来性が期待できる形式です。動画にチャプターや字幕を追加したい場合によく用いられています。
Matroskaファイルからは音声のみのMKAファイル、字幕データであるMKSファイル、映像データもしくは音声や字幕を含むデータのMKVファイルが作成できます。また、立体3D映像データにも対応可能です。この場合にはMK3Dファイルが作成されます。
MKVToolNixの機能や特徴
MKVToolNixは、Matroskaファイルの操作を可能にします。それによって、高品質な状態で動画データの保存ができるようになります。さらに、動画ファイルを分割したり抽出しても、それらが劣化することはありません。
MKVToolNixを使えば、状態を良好に保ちながらも、データを高速に取り出し、編集することが可能です。高画質・高品質を維持したまま編集する必要がある方に向いているプロユースのツールといえます。
多くの動画編集ソフトにおける音声ファイルの取り扱いは、映像と同じコンテナに挿入し、大まかなタイミングの調整がなされるにすぎません。そのためレタリング後に音ズレが起きてしまうことが少なくありません。MKVToolNixを用いれば、音声データの再生タイミングを細かく補正できるので、音ズレを簡単に修正できます。
なお、MKVToolNixは、多くの入力ビデオ形式に対応しています。そのため、必ずしもMatroskaファイルからでなくとも、動画の作成・抽出・解析といった作業が可能です。くわえてMKVToolNixにはメディア・ヘッダー・エディターが付属しているので、動画のメタデータを変更したい場合にも便利です。
ダウンロードとインストール方法
MKVToolNixにはインストーラー版と、ポータブル版があるので、使いやすい方を選んでダウンロードしてください。
#ダウンロード方法
ダウンロード先は公式サイト以外にも数多くあります。なるべく最新版をチェックしてからダウンロードするようにしましょう。
ダウンロードする際には、自分が使っているOSに合わせたものを選んでください。
#インストール方法
インストール方法の例として、64bitインストーラ版を使った方法を解説します。
- ダウンロードしたMKVToolNix.exeファイルをダブルクリックすると、インストーラーが起動して、インストールウィザードが開きます。
2. 次に「Please select a language」との表示がでるので、ドロップダウンリストから「Japanese / Nihongo」を選んでください。これで日本語化できます。
この作業は32bitインストーラー版でも変わりはありません。MKVToolNixは20種類を超す言語で使えます。自分にとって使いやすい言語を選ぶとよいでしょう。
なお、ポータブル版の場合には、MKVToolNixをインストールした後に「MKVToolNix gui設定」から「設定」を選んでください。
一般設定内にある「インターフェース言語」を「日本語(Japanese)」に切り替えることで、日本語のインターフェース環境でMKVToolNixが使えるようになります。
古いバージョンでは、日本語化に対応していないことがあるので注意しましょう。
3. 「セットアップウィザード」が開くので「次へ」を押して先に進めてください。
4. MKVToolNixのインストール先を選ぶ画面が表示されますが、変更する必要がない場合には、そのまま何も変えずに「次へ」を押します。
5. 続いて、ショートカットを作成したいスタートフォルダを選んだら、「インストール」をクリックしてください。
6. これでインストールが開始します。
インストール後は、MKVToolNixの追加機能の紹介があり、最後にセットアップウィザードの完了の通知があります。
完了を押せばインストール作業終了です。
MKVToolNixの使い方
ぜひ押さえておきたいMKVToolNixの基本的な使い方を以下で解説します。
#MKVファイル作成
最初に、MKVファイルの元になる動画素材をインポートします。
1. MKVToolNixを起動させたら、画面左のツールバーから、「Multiplexer」を選択し、入力をクリックしてください。
2. 次に、画面中央左上の「ソースファイル」のウインドウに、動画素材をドラッグ&ドロップします。ファイルが読み込まれて、追加された動画素材が一覧で表示されます。
MKVToolNixでは、MP4・AVI・FLVなど一般的に扱うほとんどの形式が、読込可能です。「ソースファイル」のウィンドウ上で右クリックして「ファイルを追加」を選べば動画素材を追加できます。
複数の映像素材を追加した場合は、それぞれが独立したマルチトラックとして認識されます。例えば、映像トラック1・2・3と音声トラック1・2・3の合計6つの素材を追加したとすると、映像トラック1と音声トラック1がメインのデータ、映像トラック2・3と音声トラック2・3はサブのデータとして扱われるので気を付けましょう。
それぞれの追加トラックを連結して、ひとまとめにして扱いたいときは、ファイルを右クリックして「ファイルを追加結合する」から結合するファイルを選択していきます。
3. なお、「ソースファイル」のウインドウに複数の動画素材をドラッグ&ドロップすると、「ファイルを追加または追加結合」というダイアログが現れます。
4. 追加ファイルをマルチトラックとして扱うなら「現在の多重化設定に新しいソースファイルとして追加する(Add as new source files to the current multiplex settings)」、動画素材を結合する場合は「Append to an existing source file」を選択してください。
追加した動画素材を削除したい場合は、対象の素材を右クリックして「ファイルの削除」を選びます。
5. 編集が終わったら、動画素材をMKVファイルとして出力します。画面中央下部にある「MUX開始(Start multiplexing)」をクリックしてください。
これによって動画素材をひとまとめにして、MKVファイルとして出力します。
#ファイルの分割
結合とは逆に、MKVToolNixを使ってファイルの分割ができます。
1. 動画素材を読み込んだあと、「出力」タブをクリックしてください。
2. その中から「ファイル分割」の「分割モード」を選択します。
3. ドロップリストから分割方法を選んだら、細かい設定をしなければなりません。サイズごとに分割するのであれば、分割するサイズの設定を時間で分割するのなら、デュレーションから分割する時間を入力してください。
また、いくつに分割するかを決めているなら、「ファイルの最大分割数」も設定します。
4. 全て終わったら、「MUX開始(Start multiplexing)」を押してください。
ファイルが分割されます。
音ずれの修正に便利!Matroskaファイルの編集が可能なMKVToolNix
MKVToolNixはgui形式で、Matroskaファイルの編集が可能なソフトです。このソフトがあれば、動画編集でよくある音ずれの修正が簡単にできます。それだけでなく、高画質・高品質を保ちつつ、ファイルの作成・抽出・解析といった作業ができ、メディア・ヘッダー・エディタからメタデータの編集も手軽にできます。日本語にも対応しているので、海外ソフトに不慣れな人でも安心して使えるでしょう。
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